没後518回忌 宗祇法師を偲ぶ会 連句実作会作品    

 令和元年6月22日 於桃園集会所

                                                                

            夏至の富士 二十韻        蕉肝捌

 

昼夜もとわにねむれよ夏至の富士     近藤蕉肝 

 宗祇桜の実のふとる梅雨        賀茂博美 

子供らの羽織袴の凜として        勝又丘女 

 踊る眼差し夢ふかく秘め        佐野彰一 

月の友酒と笑いと良き肴         井上輝夫 

 添う影ふたつ爽涼の宿         丘女   

林檎には痺れ薬をふくませて       蕉肝   

 探偵ドラマ名医登場          輝夫   

高齢者溢れるニュース車事故       彰一   

 IoTを守護神とせん            蕉肝   

銀狐葉っぱ束ねて万札に         丘女   

 凍つる思いのふところの月       彰一   

朝採も道の駅にて売れ残り        輝夫   

 三人姉妹未だ独身           丘女   

東西の線で心を隔てられ         蕉肝   

 連合となる時を信じて         輝夫   

弟子恃むオリンピックの活躍を      彰一   

 ひこばえ茂る古き里山         蕉肝   

果てしなき花花花よドローンの目     丘女   

 令和の空は蒼帝の青          彰一   

満尾

 


            半歌仙「宗祇遠忌を」の巻     捌 宮澤次男

 

梅雨最中宗祇遠忌を修しけり       鴻巣洋子

 あじさい色を添える庭隅        市川越子

部活の子今か今かと待ちわびて      窪田浩晃 

 お腹が空いて摘むせんべい          洋

まん丸な月煌々と山の端に           越

 集く虫の音聴きし縁側            晃

酔漢は畦の案山子に話しかけ          洋

 木村拓哉に思い焦がれて           越

すれ違う残り香なんと懐かしく         晃

 老いし大国離脱EU                                                        越

当落の五輪チケット気も漫ろ          晃

 月の灯に探す手袋              洋

消防車火の用心に巡回し            晃

 おみくじ引けば怪我に注意と         越

鬼太郎の足跡訪ね日本海            晃

 紋白蝶が右に左に              洋

校門を潜る花柄ランドセル           晃

 高層ビルを跨ぐ初虹            執筆

 

令和元年6月22日     於 裾野市桃園公民館

 


           「夏富士や」           捌 本屋良子

 

夏富士や宗祇桜の謂れ聞く        本屋 良子

 玻璃戸の外に遊ぶ山雀         佐野由美子

床の間の掛物替えて客を待ち       水口 英男

 夕餉の支度子らが顔出す        名波 秀夫

夜も更け風も止まりぬ十三夜           美

 眠れぬ部屋の隅に蟋蟀             英

百号の油絵を描く芸術祭             秀

 漱石の恋読みすすむ時             英

胸を抱く星のまたたく街角に           美

 浜の娼婦は古希を迎えて            良

逃走犯ドジな警察あざ笑い            美

 ひとりカラオケ外は凩             秀

冬月にどぶ板通り飲んだくれ           々

 どや顔してるスカジャンの兵          英

贋作の本物よりは高価なる            良

 孫が奏でる江戸雛の琴             美

花筏流れにまかせ河口まで            英

 日差し明るき春虹の村             秀

 

令和元年6月22日      於 裾野市桃園集会所

 


           半歌仙「富士の頂」の巻       根津忠文捌

 

あの辺り富士の頂梅雨曇          根津 忠文

 風鈴の音軽き土産屋           大津 博山

メニュー決め好物それぞれ異なりて     堀井由美子

 初運転に兄が同乗            土屋 日菜

月今宵遠回りする城下町            博

 ゴーヤの棚を取りて清しい          史

村芝居白塗り厚く若い衆            日

 折り紙自慢皆真剣              由

お点前の足の捌きをうっとりと         史

 年齢詐称挑む婚活              博

セーターに波動している胸の線         由

 ひれ酒と月浜の民宿             日

へぼ将棋待った連発切りもなし         博

 百年安心国の年金              史

末の子の大リーガーを夢に見る         日

 宗祇法師の塚に陽炎             史

お待たせと一週遅れの枝垂れ花         由

 日曜画家は青き踏みつつ           博

 

令和元年6月22日

於 裾野市桃園区集会所