宗祇法師を偲ぶ会 連句実作会作品集   

                         平成29年6月24日 於 桃園集会所

                 半歌仙「涼風に」の巻  捌 宮澤 次男

 

  

  涼風に連衆集う定輪寺       佐野 彰一

    蚊のまつわりし僧の足許    市川 越子

  子供らは犬追い回しおおあわて   鴻巣 洋子

    カレーの匂い暫し佇む     今関 純子

  仕事終えビルの谷間に望む月    堀井由美子

    のれん潜りて新走り酌む    宮澤 次男

  八千草を実朝愛でしうらがなし       越

    かくれた宿に幼馴染と         一

  残り香を手探りしてる夜明け前       洋

    心機一転アルプスを越え        由

  テロリストいまだに止まぬ自爆テロ     洋

    楽園求め紺碧の海           純

  月照らすラグビー場は満席に        一

    街頭テレビ映す着膨れ         一

  教会の鐘が幽かに聞こえ来る        越

    ドローン飛ばす陽炎の中        由

  吊り橋に立てば舞い散る花吹雪       洋

    うつらうつらと仔猫縁側        純

 

    

    半歌仙「三鳥を」の巻  捌 本屋 良子

 

  三鳥を宗祇に問はむ青蛙      本屋 良子

    蛍袋の揺るるせせらぎ     勝又 丘女

  プレゼント幼き児らの頬ゆるみ   賀茂 博美

    昔話の絵本手作り       土屋 日菜

  月代に湯屋の煙突影長く      大津 博山

    秋の出水の見回りの役     佐藤まさ子

  ほのかなる香り楽しむ菊の宴       丘女

    君の流し目はつと受けとめ      良子

  踊り子と心通はす山の宿         日菜

    なぜか波立つ湖の面         博美

  冷静な十四歳の棋士誕生        まさ子

    サラメシけふも列をなす店      博山

  熱燗に憂さを晴らすは誰ならん      良子

    杉の穂先にかかる凍月        丘女

  托鉢の碧眼の僧経唱へ          博山

    盲導犬は傍に座し          日菜

  定例会論戦交はす花衣          博美

    よき風を待つたんぽぽの絮     まさ子

 

 

    半歌仙「五輪塔」の巻  捌 近藤 蕉肝

 

        蜘蛛の網の虹に光るや五輪塔    近藤 蕉肝

    額紫陽花に近き霊峰      内藤 法子

  校庭に球蹴る声のこだまして    窪田 浩晃

    良い風おこす故郷のプロ    水口 英男

  団らんの家族の湯船月も入り    名波 秀夫

    麦藁の籠つくる永き夜     井上 輝夫

  屁こき虫早く国会終わらせん       浩晃

    干し柿の影踊るパラパラ       秀夫

  野馬追の絆復興スパートす        英男

    若すぎるのは駄目よあぶない     法子

  仕事中ラインでそっと文送る       法子

    ピアノ本選駆け抜けし孫       秀夫

  寒月も取らせてやろう肩車        浩晃

    いい加減にしろきな臭い道      英男

  定年で妻の手料理酒うまし        秀夫

    苗田うるおす深良用水        法子

  言の葉も明治気質の花便         輝夫

    朝うぐいすの谷渡りする       執筆