宗祇法師を偲ぶ会 連句実作会作品集
平成30年6月16日 桃園集会所
半歌仙 「五月富士」 捌 本屋 良子
五月富士宗祇を慕ふ旅となり 本屋 良子
蛍飛び交ふ川沿ひの道 名波 秀夫
はからずも小さき石につまづきて 桃井 伴子
友より届く故郷の味 土屋 日菜
山脈の影を曳きつつ望くだり 水口よお子
ははそ紅葉の風にゆらめく 々
搬入のブロンズの像芸術祭
群衆の中君を探せり 伴
マニュキュアの赤き小指の忘られぬ 菜
南の島より幸せの文 伴
米朝のドンの会談夢かしら お
手斧始めの祖父の凛々しき 菜
木の葉舞ふ月の裏路地占ひ師 夫
イタリア不在ワールドカップ 菜
やけ酒をスポーツカフェに一気呑み 伴
子らの見上ぐる軒の燕 夫
寺の庭枝垂桜の花盛り 菜
藍色淡き春のスカーフ お
首尾 平成三十年六月十六日
於 裾野市桃園集会所
裾野宗祇法師の会主催 宗祇忌 2018年6月16日（桃園山座）
天地を 半歌仙 近藤蕉肝捌
天地をむすぶ富岳やほととぎす 近藤蕉肝
紫陽花も濃き庭のかたすみ 水口英男
夕暮れに帰りし猫の伸びをして 佐野彰一
軽やかなりし包丁の音 勝又丘女
軸装のうすずみの月運をよび 英男
葵のご紋わすれ扇に 蕉肝
今年米北前船の沈むほど 丘女
グレイのCD娘への土産に 彰一
竹林に通う男の数知れず 蕉肝
忘れんとして夜の深酒 英男
ドラマ見て隠せし文を思い出し 彰一
プラットホーム着膨れて佇つ丘女
米朝の寒さゆるむか寝待月 彰一
ぬらりひょん出るあちこちの島 蕉肝
瀬戸内に草間ドットの塔あおぐ 丘女
お遍路の笠ひさご虫這う 英男
またや来んうわみず桜花の頃 蕉肝
霞に明ける村の絶景 英男
半歌仙「雪渓の」の巻 捌 宮澤次男
雪渓の三筋凛々しき富士の影 宮澤 次男
風の吹くまま薄翅蜉蝣 鴻巣 洋子
クラシックコンサートへと友連れて 堀井由美子
今日のファッション映すウインド 市川 越子
縁側の皿に団子が望くだり 洋
新酒片手に開くテキスト 河井 愛
葉鶏頭幻のごと庭の隅 越
誘いの電話梳かす黒髪 越
バリの街エステ通いに精を出す 美
路銀尽き果て頼む送金 次
米朝の首領は腹の探り合い 洋
拉致の家族は仰ぐ凍月 越
熱い茶を啜りながらの炉咄を 洋
おみくじ引けばいつも小吉 美
宇宙よりお帰りなさい金井さん 次
目をサラにして揚げ雲雀追う 越
観光バス花満開の寺の庭 美
おそるおそると掬う春水 洋
平成三十年六月十六日 首尾 於 桃園集会所