半歌仙「ジンベエザメ」の巻
捌 勝又 丘女
夏休みジンベエザメに会いに行く 勝又 海
入道雲と青い海原 勝又 玲
早起きし犬の散歩を楽しんで 宮崎明日香
にげ出すアイツじょうしゅうはんだ 海
かぐや姫あなたに会いに月にまで 玲
メールする部屋こおろぎの声 香
友人とスーパーマリオ秋の夜 海
少女漫画のドジなヒロイン 玲
久しぶり君のおもかげ変わらない 香
モスバーガーで誕生日会 海
天皇の勢力示す大古墳 玲
ご恩と奉仕武士の世の中 香
クリスマスサンタクロース寝ずにまつ 海
大きな月はメルヘンチック 玲
ワイキキのホテルでウクレレフラダンス 香
ジャパン思ってのむシャンパン 海
花の下手作り弁当家族の輪 玲
庭のヤマガラ巣箱観察 香
首尾 令和元年八月十一日
於 定輪寺本堂
半歌仙「富士の嶺青し」の巻
和田忠勝捌
秋雲に富士の嶺青し朝浄め 金窪明美
稜線離れ小さき朝月 和田忠勝
紫蘇の実をもぎる指先香を留めて 土屋日菜
ただいまという幼子の声 賀茂博美
老犬は廊下にごろり横たわり 鴻巣洋子
スイカジュースを搾る母の背 河井 愛
出で立ちは宗匠頭巾に夏衣 菜
行く先告げず軽い足取り 愛
銀の鈴時計ばかりをにらみつけ 洋
星座鉄道夢のまた夢 明
日本中東京五輪期待して 博
怪我の回復あせる選手等 勝
月あかり祝い酒手に参賀待ち 博
同窓生の噂それぞれ 愛
湧水池輪になり踊る底の砂 洋
蝶の飛び交う古き奥津城 明
千年の花の心を訊ねたし 菜
次々とくるニュースうららか 執筆
首尾 令和元年八月十一日
於 定輪寺本堂
半歌仙「秋立ちぬ」の巻
和田ひろ子 捌
溶岩に実生の草木秋たちぬ 佐藤まさ子
祖父の育てし甕の鈴虫 堀井弘由
窓の月久久友と酒酌みて 水野森雄
席主となりて設えし軸 佐野仙由
シンプルに活きるが良しと構えずに 和田ひろ子
帰省の子等の靴の大きく ま
涼しげに日傘さされる石地蔵 森
海辺のふたり黙々と座し 仙
鳶まじかハグのチャンスの到来す ま
今日も告白出来ぬマザコン ろ
イギリスで渋野スマイルシンデレラ 森
東京五輪準備着々 ま
裸木にかかる上弦レモン色 仙
被災犬連れ着ぶくれの人 弘
米中の対立如何に落ちるやら 森
入学式の母は晴れやか 仙
花の門夢それぞれにふくらませ ろ
しゃぼん玉舞う公園の中 弘
首尾 令和元年八月十一日
於 定輪寺本堂